金曜日, 8月 14, 2015

撮影照明論としてのリアルタイム色温度調整

 昔、舞台に長テーブルを並べ白いクロスで敷き詰めた大正琴の演奏会を撮影したことがある。その時の照明が適当で、白いクロスが明るいだけで、肝心の出演者の顔が暗かったので、「光を柔らかくしてコントラストを低くしてもらえませんか?」と頼んだら、「ビデオのために照明しているのではない。」と、あっさり断られたことがある。しかし、お客様目線で観ても白いクロスが眩しいばかりでお顔が暗かった。私だったら、両サイドからバンドアを閉めてフェイスだけに光があたる照明を追加すればお客様には眩しくなく、コントラストの柔らかい照明をするノウハウを、学校で学びテレビCMの現場でも見てきてるので知っていた。この時に思った。いつまでも近所の舞台照明で撮影している場合ではない。日本各地に出向いて行って優秀な舞台スタッフ(照明・音響)の方と仕事をしたいと思った。

ある地方の屋外イベントで、イベント看板を撮ろうとすると夕方でもあり、タングステン光の照明をあてていた。つまり、背景は薄暗く7000Kになっているのに、看板は、ミックスであっても4000K位だった。これを4000Kで撮ると、背景が真っ青になり夕方なのに早朝のような色合いになります。だからこそ、昼光色の蛍光灯でもあててくれれば光のバランスが取れるのに、そんなこだわりもないのだろう。ましてや撮影のために照らしてるわけではないのですから・・・。

次に、ブライダルで新郎新婦のツゥショットを撮る時に金屏風前では、オートホワイトバランスで撮ると色がとんでもない色で映ってしまいます。なので、綺麗に撮るとしたら、カメラに照明を付け、その色温度に調整して撮影しなければなりません。しかし、新郎新婦はもちろん列席者からも眩しがられて良い表情が撮りづらいです。ちなみに、このことをテクニカルサポートセンターの担当者に申し上げたら知っていました。つまり、オートホワイトバランスで撮れない被写体もあるのです。そして、当時は、リアルタイム色温度調整できるビデオカメラは無かった。実は、あるメーカーのつまみを回せばできる裏技を知っていたが、プロとしての使い勝手がダメだったので論外にします。それから数年経ってようやくリアルタイム色温度調整できる業務用ハイビジョンカメラが発売されました。しかし、まだ裏技機能としてであり、メーカーもこの機能を謳っているわけではありません。

いよいよバレエなどの舞台照明ですが、同じ白鳥の湖でも、6000Kのところ5500Kのところ4500kのところと舞台照明の色温度が違います。そして、3400Kの演目もあります。だから、やっと色合いに気を使いはじめたビデオ業者でもカメラはリアルタイム色温度調整が出来ないので(出来ても複数カメラの場合困難)、色温度の平均値で撮るようになりました。しかし、完璧ではありません。また、伝統あるバレエ教室ほど、昔の青白さに慣れきっておりますので問題にしないようです。しかし、それで良いのでしょうか?

文化は進化し技術も進化し、価値観が高まる中、海外のバレエ団やテレビ収録だと、ビデオのために照明しているわけではない照明さんが、色合わせをしてくれています。

そこで、私たちのようなビデオ業者は、どこで、どんな照明をされても、リアルタイム色温度調整できるカメラを所有し使いこなすことで、日本の各地に出向いて行っても、お客様から喜ばれる撮影をしています。

ありがとうございました。

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